「亮く〜ん!」
翌日、授業後に早速飛んできた親友は、俺の腕に自分の腕を絡めて、執拗に昨夜の事を問いただしてきた。
こうなる事はわかっていたが、それにしても。
「気色悪いことは止めろ」
「酷いな、僕と亮の仲じゃないか。さあさ、教えてくれたまえよ!」
「断る」
「あっそ…。でも僕にも考えって物があるんだよ、亮」
不適に笑んだ吹雪が次に起こした行動は、教室中をどよめかせた。
「亮、キスしようか!」
大声で告げてきた吹雪に、どよ…と一瞬にして教室内の殆んどの視線がこちらに向かったのが分かった。
「……何のつもりだ?」
「さあね、さっきからあそこで僕達を複雑な表情で見てるあの子がここに来ないかなあ、と、思っただけさ。」
「な…」
吹雪の視線の先には何とも言えぬ表情を浮かべた十代が、自分の弟と一緒にこちらを見ていた。
翔に凄い剣幕で睨まれているのは気のせいではないだろう。
「ふうん、十代君ってあんな顔もするんだ。今まではあんな顔、しなかったよね。僕に妬いちゃってさ、可愛いなぁ〜。」
「吹雪!ふざけるのも「おめでとう!親友として祝福するよ!」
やられた…。
吹雪は周りの俺や十代や教室中の生徒をも使って、俺と十代の昨夜の出来事を探るための芝居を演じきったのだ。
「じゃ、僕はこれで。」
教室を出ていく際に、十代達の方へ寄った吹雪は、十代の耳許で何事か囁いた後、強引に翔を連れて行った。
何を言われたのか、顔を真っ赤にした十代は、その赤い顔のままこちらへ歩いてくる。
「どうした?一応言っておくが、先程のは吹雪の冗談だ。」
「うん、わかっては、いる。だって、俺が望めばアンタは俺のもの、なんだろ。」
「ああ、そうだ。」
なら、いい。
そうして笑う十代の頭を撫でてやる。
擽ったそうに、でも幸せそうな彼を見ていると、自分まで幸せ気持ちになってくるのだから、不思議だ。
「本当に可愛いな、お前は」
「そんなことねぇよ。可愛いってのは翔とかレイのこと、言うんだと思うぜ?」
「だが、俺にとってはお前が一番だ。」
「えと…なんか、照れるぜ」
「帰るか」
「おう!」
ブルー寮はすぐ側だが、レッド寮まで送って行く。
少しでも誰かと一緒にいたい、だなどと、まさか自分が思う日が来るとは思わなかった。
この、遊城十代が現れてからというもの、俺の世界は変わった。
それは親友に言わせれば、良い方向に、らしい。
しかし、そこから生まれる独占欲や支配欲を綺麗なものだとは到底思えない。それでも、確かにこの想いがもたらす幸福感は、何物にも替えがたく。
「先程、吹雪に何を言われた?」
「へ」
「耳打ちされていただろう」
「っ…あれは…カイザーには内緒!」
「ふむ。それは、良い度胸だな、十代。」
この彼に向かう様々な欲求も、彼が受け止めることで緩和されるように思えるのだ。
この現象を、親友曰く、愛、と呼ぶのだそうだ。
全く、恥ずかしいこと極まりない。
END
携帯サイトの方から再録。
裏は…書けませんでした…汗
吹雪が耳打ちしたのは「君を見ていると、どれだけ君が亮のこと好きかわかるよ」という感じのものか、「亮は上手かった?」という感じのものです。
そりゃあ本人には言いたくないわな的なものを想像して頂けたら嬉しいです。
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