like a Chocolate!


腹に鼻を押し付ける。自分と違って、腹筋の固さがあるそこに少しだけ悔しくなって、腰に腕を回してギュウっと抱き締める。



「どうしたんだ、十代。今日は妙に甘えたなんだな。」

寝台に座る亮の膝に頭を乗せて、寝そべっている十代は、「んー」と、何だか良く分からない唸り声を上げてから、亮の腹に押し付けていた顔を上げた。同時に腰に回した腕も解くと、どことなく決まりが悪そうに笑んだ。

「別に。たまには良いだろ?」

今日は朝からずっとこの調子の、子供にしては大きな、大人にしては小さな少年は、それだけ宣うと、今度は亮の脚に腕を乗せて、その上に頭を置いた。
その頭を撫でてやりながら、時折髪をすく指に引っ掛かる毛先の縺れを解いてやり、再び撫でる。

「こうして俺に甘えてくるお前というのも悪くはないな。」

いつも二人揃えばデュエルばかりだったものだから、こうしてただベタベタして過ごす、という事はとても珍しい。時折、亮が十代に触れようとしても、照れ臭いのか一歩後ずさって、赤い顔で「デュエルしようぜ」などと言うものだから、亮にしてみれば堪らなかった。
触れたいが、十代が望まないのなら無理強いはしない。傷付けるくらいなら自分が耐える。
それが亮のモットーなのである。
だが今はどうだろうか。甘えてくる様子はただの子供だが、彼はきちんと意識した上で今の状況を作り上げている。

「そっか?いつもは…なんつーか照れ臭いし、それにデュエルの方が大事だしさ。」

アンタもそうだろ?と再び顔を上げた十代の、茶色の瞳が見つめてくる。

「確かに、カイザーといる時間はすげぇ大切だけどさ。」

自分達にはデュエルが一番。だけれど、十代の二番目に大切なものに自分があるのだとしたら、それは何と幸せな事なのだろうか。
亮は少しだけ口許を弛めた。

「それは、一番はデュエルだが、二番は俺だと解釈しても良いのか?」
「え…!?あ、そんなつもりじゃなかったんだけど、うーん、間違ってないから、いいぜ、うん、そう思ってくれよ。」

十代は少しだけ驚いたらしい顔を再び膝に埋めた。
耳が赤い。顔が見たいと思うけれど、そうすれば、このムズ痒い様な暖かいような、例えて言うなら苺にチョコレートを掛けて、ショコラを飲む様な、甘ったるくて、時折酸味を感じる感覚が消えてしまう様な気がして、それがとても惜しくて。
彼にも自分にも酷く似合わないな、と小さく笑うと、亮は再び十代の茶色の癖毛を撫でた。

「ああ、わかった。」
「……おう…」





END

携帯サイト再録パート2
げろ甘です。



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