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デュエルアカデミア本校で最初に出来た友達は、とても明るくて、無邪気なレッド寮の生徒だった。
一人で歩くと確実に道に迷う方向音痴のヨハンは、彼に案内を頼む事にした。今まで、道案内は精霊達に頼っていたのだが、流石に見知らぬ土地となると、彼等に頼む訳にはいかない。

「ああ、いいぜ」

と二つ返事で引き受けてくれた十代は、ニッと歯を見せて笑うと、ヨハンの肩に手を置いて、続けて言った。

「不思議だぜ。ヨハンとはついこの間会ったばっかな気がしないんだ。なんつーか、こう、前からずっと友達だったみたいだ!」

それはヨハン自身も思っていたことだったから、「俺も」と言って、腕を伸ばして十代の肩に手を置いた。

「やっぱり?」
「ひょっとして、俺達は友達になるべくして巡り逢ったのかもな……なんてな!」

肩を組んだ状態で笑い合っていると、側で見ていた翔が「二人は本当に仲が良いっスね。」と、その身長にそぐわない、見守るような笑顔を二人に向けた。

数日続けた十代によるアカデミア案内は、ヨハンが大方アカデミア内を把握すると、デュエルの時間へと変わった。
互いに精霊が見えるということに、かなり十代に親近感を覚えていたヨハンは、十代と一緒にいられる時間の全てが今までに感じたことのない程に楽しく感じたのだった。
そして、その十代と、大好きなデュエルをするのだから、時間を忘れて、門限近くになって慌ててレッド寮を出て行くこともしばしばあれば、どうしても勝負が付かなくて、そのまま泊まってしまうこともあった。


十代はデュエルの事となると、つり目気味の大きな目を輝かせて、「さあやろうぜ!」と自慢のヒーロー達を腰に引っ掛けたカードホルダーから取り出す。
その姿が何か可愛いな、とヨハンは思い、十代に告げようとして首を振る。
流石に高校三年生に言って良い言葉ではないか。
そうして、早速十代の召喚したネオスに打ち勝つ方法を考える事に集中するのだった。

結局絶好調の十代に負けて、今しがたのデュエルの反省点を指摘し合う。
こうでもない、ああでもない、こうしたほうがいい、とか、そんな事を話していたら、二人してまたデュエルがしたくてウズウズしてきて、十代とヨハンはもう一度カードを切る。

「なあ十代」
「んー?」
「俺とお前でタッグ組んだら強いと思わないか?」

こうして毎日デュエルして、互いの弱点を知っているのだから、それを互いに補うことが自分達になら出来る。
そしたら向かうとこ敵なしだな!と、ヨハンは笑って言った。

「ヨハンとタッグデュエルかぁ。面白そうだな!本当に敵なしか、今度試してみようぜ!」

相手してくれる奴なんて、このデュエルアカデミア内では腐るほどいる。

「ああ!」







「あ〜、流石に疲れた!十代、お前元気だな…、あと十戦はいけるって顔してるぜ…」

結局あれから五戦して、レッド寮の床にぐったりと仰向けに寝転がったヨハンは、お決まりのガッチャのポーズを自分の方に向けて「なっさけねーなー!ま、俺も結構疲れたけどさ」と苦笑を浮かべた十代に視線を向けた。
その笑顔に、なんだか本当に嬉しくなって、ずっとずっと十代と一緒にいたい、と心のそこからヨハンは思うのだ。

「あのさ、十代。今日、泊まってもいいか?」
「ん?ああ、いいぜ!」
「なんかさー、十代といると落ち着くんだよなぁ。」
「ならさ、じゃあ今日は一緒に一番下の段で寝るか?」

俺もヨハンといると楽しいし、落ち着く感じがするし。
と、屈託なく言った十代と、同衾する自分をヨハンは想像した。
あの狭いベッドに一緒に寝るということは、つまり、ずっと十代とくっついていられるということで。
顔を寄せ合って喋るのは、それはとても楽しいだろうし、何だか恋人のそれのようではないか。

「……っ…」

自分で考えておいて、不思議と頬が熱くなるのが分かった。
おかしい。これはおかしい。ヨハンは「サンキュー十代!でも上で寝るよ。」と声が裏返らないように、出来るだけいつも通りの顔で告げた。

「おう、じゃあ俺着替えるな。ヨハンは俺の服じゃ小さそうだから、今着てるので我慢して……」

と、もう既に服を脱ぎながら喋り出した十代の言葉は、ヨハンの耳から耳に抜けて出て行った。
友達の着替える姿にドキドキするとは、どういう事だろうか。頭に浮かんだ疑問を払拭するべく、必死に胸の鼓動を落ち着かせるべく、大きく吸って吐いての深呼吸を繰り返すヨハンに、何があったんだ?と首をかしげる十代。

「どうした、ヨハン」
「っっ、あ〜…どうしたんだろうな。」

本当に。自分でもわからないまま、ヨハンはまだ少し赤い頬を人差し指で掻いた。





END

ほぼ初書きヨハ十。
友人のラインを超えられないようなヨハ十に激しく萌える。





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